■屋上広告板が落下、大学生が死亡
昭和54年10月19日午後3時35分頃、東京都港区のS書店で2階屋上に取り付けてあった広告物の一部(縦2.2×横4.6m)が台風20号による強風(瞬間最大風速38.2m)のため落下し、通行人(24歳、男子大学生)に当たり、頭部骨折のため同人を死亡させた。落下した広告物は昭和43年3月完成のネオン広告板で、支柱および斜材は木製(4×3.5cmたる木だった。落下の原因は、斜材と流し角材の取付部分が腐食により強度を失い、風圧に耐えられなかったものとみられている。
看板屋の全国組織である日広連(全日本屋外広告業団体連合会)で扱っている賠責共済(看板の保険)の報告によると、年間200件程度の事故報告があっており、このうちの約25%が工事が完了したあと、なんらかの原因で発生している事故です。これには保険金が払われない5万円以下の事故は含まれていません。また、施工後5年間がこの保険の適用となりますので、それを過ぎた看板の事故はもっとあるのではないかと思われます。
看板の事故の場合、看板そのものの被害よりは、第三者へ被害が及んだ場合が深刻です。 看板や部品・部材の落下・倒壊。あるいはそれらの脱落による二次被害。つまり、はずれた一部が周囲の建物や看板までを破損させる状況も少なくありません。もともと看板は人や車の多い場所を選んで設置されているせいもあって、保険適用となる事故の多くは車に対するものですが、人身、さらには人命にかかわる事故となると、保険があるからでは済まされないのではないでしょうか?
第三者でなくとも、取付部分から建物への漏水があったり、電源の事故から感電・火災にまで被害がひろがっていく恐れも忘れてはなりません。